*「夢うらはら」から微妙につながってます。



Dance in the dream.


 きゃあ、という女の子たちの黄色い声が聞こえて、視線を上に向けた。大広間へと続く階段を優雅に降りて来るシリウスと、彼と腕を組んでいる美人な女の子が目に入る。大広間の中には入らず、扉の外で自分のパートナーを待っている人たちはほぼ全員、その二人を羨望の眼差しで見つめている。
 私はというと、ちらりと見ただけで興味のないものであることが分かったので、またさっきまでと同じように目を閉じた。

 凭れている壁は、背中の熱で少しだけ温かくなっている。
 どれぐらい待っているかと言うとそれほどでもないのだけれど、私は早くも帰りたいと思い始めていた。自分はとてつもなく場違いなんじゃないだろうか、もしかしたら彼も私をパートナーにしたことを後悔しているかも知れない、なんていう考えばかりが頭を過ぎる。
 心の奥底では、彼が相手を見捨てるなんてありえないことだとちゃんと分かってはいたけれど、あきらかに自分に似つかわしくない煌びやかな広間を一度見てしまうと、どうしても悪い方向にばかり考えが向いてしまうのだった。

 今日一日は素直で可愛い女の子になってみせる、って昨日決心したばかりじゃなかったっけ?片目を開けて、先程から何度もしているようにドレスローブの裾を摘んでみる。淡い銀色でまとめられていて統一感はあるけれど、私に似合っているとは思えない。胸元の大きめのリボンも、あるのかないのか分からないような胸を強調してはくれない。リリーは、私を過大評価している。こんなに素敵なドレスは、私なんかではなく、もっと清楚で綺麗なお嬢様が着るはずのものだ。

(……だめ、だめ)

 素直にならなくては。リリーが私のためにこの服を選んでくれたのも、全てはリーマスの前で可愛らしく映るためなのだから、ここで彼女の努力を無駄にしては意味がない。もう一度目を閉じて、思う。
 早く彼が来てくれたらいいのに。そうしたら、くだらない後悔なんて捨てて、ちゃんと心から笑うことだって出来るはずなのに。

「おい、?」
「え?」
「リーマスは一緒じゃないのか」
「……まだ来ないのよ。っていうか、シリウス、パートナーは」
「そこで待ってる。何で一人なのかなと思って声かけただけだから、安心しろよ」
「どうして私がそんなこと言われなくちゃならないの。もう、放っておいて」
「ほらほら、頬が強張ってる。そんなんじゃあいつも嬉しくないと思うけど?」
「放っておいてって言ったでしょ。早く戻れば」

 可愛くねぇよな、と笑いながらシリウスはパートナーの女の子のところへ戻って行った。余計な心配をして、人をおちょくって、一体何なのかしら? 憤慨しているのに、今日の私はどこか情けなくて、それが自分でも分かっているから尚のこと調子が出にくくなっている。けれど冷静な方の自分は知っている。まったく可愛げがないのも、緊張して体がうまく動かなくなっているというのも、事実であるからこそ他人に指摘されると無性に腹が立つのだ、ということを。

(結局、八つ当たりの大ばか者じゃないか)

 そんなことはとっくの昔に分かっていたことだったが、この緊張と興奮の中にあると、いつにも増して大きなダメージになった。大広間の前の空間にはたくさんの生徒たちがいて、それぞれパートナーと照れくさそうに話をしていたりそわそわしながらまだ来ない愛しい人を待ったりしているというのに、一人だけ泣き出しそうな自己嫌悪に陥っている自分が惨めに思えて仕方がない。

 せめて彼がいたら、この寂しさも悔しさも紛れるだろうになぁ、と元のところへ思考は回帰する。

 ぐるぐる辺りを見回しても、待ち人の姿は見えない。

 不安を通り越してイライラが募ってきた私の元に、一通の手紙が届いた。すうっと足元に落ちたその紙飛行機は汚れていて、長い旅をしてきたみたい。それに、折り方だって随分荒い。きっとろくな内容ではないだろう、そう思いながら、紙飛行機を拾って広げてみた。

、今どこにいるんだい? 君の姿が見当たらないんだけど。僕はチョコレートタルトの皿の前で待ってるから、早く来て。ダンブルドアのスピーチが始まったら動けなくなるから、それまでにね』

 お互いに相手を探していることが分かったので、私は少し気持ちを静めて、大人しく大広間に足を踏み入れることにした。
 するとすぐに、紙飛行機が汚れていた理由が判明した。大広間は人で溢れていて、おまけにツリーやら蝋燭やらがたくさん頭上に浮いていたから、きっと色々なところにぶつかってしまったのだろう。私は眩しいぐらいに明るいシャンデリアを見上げながら、可哀想な紙飛行機をそっとポケットの中へ滑らせた。

 生徒たちの波に揉まれながら食べ物が置いてあるフロアにやっとのことで辿り付くと、信じられないことに、女の子たちに囲まれているリーマスの姿があった。

(……いや、信じられないことじゃ、ないな)

 そうだ、彼はクリスマスパーティの二ヶ月も前から女の子たちに申し込まれ続けていたんだった。それについて自分が彼にちょっかいを出したことを、忘れていたわけではない。少し浮かれていて、自分がいない間に彼のような人がダンスに誘われないはずがないなんてこと、すぐには思い当たらなかっただけ。

「リーマス」

 私の声に、彼はこちらに目をやって、「」と口だけ動かした。
 そしてこちらに来ようとして、すぐに周りに女の子たちがいたことを思い出したみたいだった。

「……ごめんね、悪いけど、別の人を探して」

 女の子たちはリーマスの視線を辿って私を見つけると、とても可愛いとは言えない顔をしてこちらを睨んだ。いい気味だとまでは思わなかったけれど、イライラしていたからつまらない同情はしない。私だって、彼女らと似たようなものなのだし。
 彼が疲れたような表情で隣に来た瞬間、ダンブルドアのスピーチが始まった。


* *


「もう、ずっと入り口で待ってたのよ。待ち合わせはロビーだったでしょ?」
「ドレス、似合ってるね」
「私の話聞いてる? ――って、ちょっとリーマス!」
「何?」
「何って、あの……この腰に回った手は」
「踊るんでしょう」
「踊る、けども」

 もごもごと喋ることしか出来ないのは、彼がいつもと少し違う雰囲気を纏っているから。それにパーティの装いをしているせいか、何だか大人っぽい。
 ダンブルドアの長いスピーチが終わった途端に彼が私の髪を撫で始めたので、ドギマギして相手の顔をまともに見ることも出来なかった。周りに助けを求めようと、知り合いがいないか辺りを見回したが、それ以前に皆うっとりした表情で穏やかなワルツの音楽に乗り、ゆらゆらとクラゲのように漂っているから、求めようもない。甘いムードに困惑してしまう。

 それでも、手を引かれて踊りに誘われると悪い気はしないもので。苦心して頭に叩き込んだステップなんて早くも頭の端から落っこちていたのに、二人はいとも簡単に踊り続けられている。別のペアと肩がぶつかりそうになると、リーマスはそっと私の腰を自分に寄せて柔らかく微笑む。
 睫毛が長いこととか、指が細いのに案外しっかりしていることとか、普段なら気がつかないささやかなことも、こんなに近くにいるせいで分かってしまう。気恥ずかしくてつい目を逸らしたくなるけれど、たちまちその瞳に強く引き付けられる。

「うまいね。踊り」 私がくるりとターンを決めると、彼が言った。
「そ、そう? リーマスこそ、上手じゃない」
「君の目が他の奴に行かないように、ちゃんと練習したからね」
「……ねえ。何か悪いものでも食べたんじゃない?」
「何も食べてないよ。緊張してたから、ジェームズが『緊張を解すジュース』をくれただけ」
「……」

 辺りに目を凝らしてジェームズの姿を探すと、彼はダンスフロアの外でレモネードと思しき黄色い飲み物を手に、シリウスとゲラゲラ笑っている。私の視線に気がついたのか、愛想よくこちらに手を振って来た。
 きっと、大広間の入り口でリーマスを待ち伏せしてその「緊張を解すジュース」とやらを飲ませ、紙飛行機を私に送ったのは、ジェームズ。シリウスだって少なからず関与しているはずだ。だから、入り口でわざわざ声をかけてきた。

 いつもなら、手の込んだ悪戯に腹を立てているところだ。
 でも、今日は私もどこかおかしい。顔が火照っていて、まともに悪戯仕掛け人への仕返しも思いつけないし、リーマスが目の前にいて一緒に踊っているということを考慮に入れても、冷静さに欠ける。もともと、冷静だなんて言えた口ではないけれど。

「リ、リーマス。そろそろダンスはやめて、何か食べようよ……私お腹空いちゃった」
「えー、もう?」

 しょうがないなぁ、と言ってダンスフロアから私を連れ出す彼の手は、相変わらず私の腰にしっかりと回ったまま。
(あぁ、誰か助けて)
 くっつきすぎて周囲から浮いている、というわけではない。片隅には早くも熱烈なキスを交わしているカップルもあるから、むしろ控えめな方なのである。
 でも、なんとなく納得がいかなかった。
 ジェームズたちに変な薬を飲まされて上機嫌になっているリーマスより、いつものリーマスと楽しく笑い合いたかった。


* *


「よう、リーマス、それに。楽しくやってるか?」

 私が戸惑いと違和感で悶々としている間に、ジェームズとシリウスがいつの間にか私たちの近くにやってきて、リーマスの肩を豪快に叩いた。リーマスは、いつもならオーバーすぎる(ちょっと痛いらしい)友情表現に苦笑いするところなのに、今日は満面の笑みで二人に答えている。
 何を楽しく「やる」のよ、と心の中で悪態をつきつつも、私は彼らに微笑んだ。口の端がひきつるのは仕方がない。

「お二人さんも、またずいぶんとお楽しみのようね?」
「ああ、。こんなに楽しいのは久しぶりだ。なぁ、ジェームズ」
「そうとも! これで愛しのリリーと踊れたなら、言うことなしなんだけどな」
「そういえば……ジェームズ、あなたお相手はどうしたの?」

 私は、怒りを横に置いて、ジェームズに素朴な疑問をぶつけた。ジェームズは途端に悲愴な面持ちになって、すぐ近くに置いてあったミートパイを一切れつまみ、咀嚼してから、やっと口を開いた。

「……僕さ、パーティに誘ったときに彼女が『はいはい』って言ってくれたから、てっきりオーケーをもらえたと思ってたんだよね。それでパーティが始まる前に彼女の部屋に迎えに行ったら、なんと、部屋はもぬけの殻。他に誰も誘っていないし、仕方なく一人で来たんだよ」
「あぁ、リリーは家に帰っているからね」

 ジェームズは「教えてくれたらいいのに」という恨めしげな表情で私を見た。

「しょうがないでしょ。リリーに口止めされていたんだから」
「く、口止め!?」
「あなたがあまりにしつこかったから、黙らせたかったんじゃない?」

 というか、それしか考えられない。リリーは人をだまして平気でいるような子ではないが、ジェームズの常識外のしつこさには、それくらいの仕打ちがふさわしい、と私は思う。以前リーマスに向けて発揮していた、自分のしつこさを棚に上げて。
 まあ多少、彼がかわいそうではあるが。

 「そんな……リリー……」と、ぶつぶつ呟きながらよろよろとどこかへ歩いていくジェームズを三人で見送ってから、私はシリウスに向き直って小声で迫った。

「ところでシリウス。どうやったらリーマスはいつも通りになるの」
「んー? どこかおかしいか?」
「な、何かいつもよりニコニコしてるし……積極的だし……とにかく、いつもと違うのよ! どうせまたあんたたちが何かしたんでしょう」

 私が早口で(しかし隣でチョコレートスコーンを食べているリーマスには聞こえないように、声は極力抑えて)まくしたてると、シリウスは無言で数回瞬きをして、重々しい口調で告げた。

「悪いが、。俺たちは何もしていない」
「やっぱりね、そんなとこだろうと……」私は、驚きすぎて目を剥いた。「はぁっ!?」

「で、でも何かリーマスに何か飲ませた、って……!」
「あんまり緊張してたから、少しは気が楽になると思って薄めの酒を飲ませたんだよ。でも、あれくらいじゃあいつは酔わない」
「それ、お酒間違えたんじゃないのっ? あんなに優しくされたことないわよ、私」

 リーマスが多少お酒に強いということは、私も知っている。だからといって、どれほど飲んでも平気、というわけではないことも。
 私とシリウスが顔を近づけて内緒話をしているのに気がついたのか、リーマスがシリウスの肩をぐい、と引っ張った。

「ねぇ、何の話?」 ――心なしか、笑顔が怖い。
「い、いや、何でもない。に、誰にダンスを教わったのか聞いてただけ。な?」

 シリウスが目で合図をしてくるので、私は頷いて、リーマスににっこり笑いかけた。

「そうよ。ほら、ダンスパーティに行くのを決めた時には、もうダンスの講座は終わっていたじゃない? だから、忙しい先生に頼みに行くわけにもいかないし、どうしようかなって思ってたんだけど」
「けど?」 リーマスが、シリウスの肩を掴んでいた手を離して、私に向き直った。
「……リリーに相談したら、ダンスのうまいレイブンクローの女の子を紹介してくれてね、結局その子に教えてもらったの」
「へぇ」

 シリウスは、リーマスから解放されてほっとした表情を浮かべて、私が早口で喋っている間にどこかへ行ってしまった。また二人っきりになってしまったと、普段なら嬉しいはずのことにますます焦った。
 それに、さっきより確実に彼の表情が険しくなっているのだ。

「その子、リードがすごくうまくてね――」


 突然、早口で捲し立てられる言葉を遮って、リーマスが言った。名前を呼ばれた私は、それまでのお喋りが嘘のように、ピタリと口を閉じる。

 意識的に逸らしていた視線を、ゆっくりと彼に向けると、ついさっきまでの硬い表情は消えていた。

「……少し、静かな所に行かない? 大丈夫、何も変なことはしないから」

 力の入っていない様子で、ごく自然に、微笑まれる。そうしたら私は、まったく言葉を返せなくなる。


* *


 城の外に出るとさすがに静かだけれど、十二月の今、外はとてもゆっくり話ができるような気温ではないので、私たちはグリフィンドール寮の談話室に戻ってきていた。
 暖炉の火は消されていても、さっきまで人がいたそのぬくもりがまだ残っていて、暖かい。

「誰もいなくてよかったよ。実はこれ、ちょっと恥ずかしかったんだ」

 彼はそう言って、自分の服の裾をつまんだ。
 恥ずかしい、と言っても、パーティのときには多くの男性が来ているような、突飛でもなんでもない格好なのだが。まだダンスパーティに参加できない下級生がたくさんいる場所で、自分たちだけ浮かれた装いでいるのは恥ずかしい、ということだろうか。

 確かに、想像してみればちょっと恥ずかしいかもしれない。おまけに彼は有名人で、上級生や同級生に限らず、下級生、それも一年生とか二年生の女の子にもとても慕われているから、もし彼女たちがたくさんいたとしたら、視線が気になって話もできなかっただろう。
 年下の女の子は無邪気だ。それにつられて彼が愛想よく接するので、上級生の“お姉さま方”が自分より五つも六つも下の子に嫉妬しているほどである。

(まぁ、今日のことでその嫉妬はすべて私に向かうんだろうけれどね……)

 そんなことを思いつつ、向かいに座る人をじっと見つめた。すっかり、いつものリーマスである。

「まぁスコーンは美味しかったけど、クッキーは何だかイマイチの味だったよ。パサパサしてた」
「……そう」

 私の反応が遅いので、リーマスはちょっと困ったみたいに笑った。

「ごめん、連れ出したりして。はまだ何も食べてなかったよね?」
「い、いや、そういうことじゃなくて……別に、お腹を満たすためにパーティに行ったわけじゃないし」
「あれ? そうなの?」

 彼は素直に驚いていた。くそ、彼の中で私はまだ食いしん坊なのか。
 しかし、事実であるところが口惜しい。

「当たり前でしょう」
「……そうか。そうだね」

 彼は、まだ何にも説明しない内から、納得したという風に微笑んで頷いた。それから、ふと真面目な顔になる。

「……ごめん。驚いただろう? もう、酔いは醒めたはずだから」

 ぽかんとしている私を見て、リーマスはちょっと情けなさそうな声音で呟いた。

「いつもはあれぐらいじゃ何ともないんだけど。緊張してたからかな、すぐに回ったみたいで、今思い返すと、相当おかしかったよね。本当に、ごめん」
「い、いや……えっとその、なんていうか、うん」
が戸惑ってたのはうっすら覚えてる」
「……」

 できれば忘れてください、という言葉は口にしなかったけれど、リーマスがかなり落ち込んでいる様子なので、どうしていいやら分からなかった。
 「大丈夫だよ、そんなこともあるって」と言って慰めればいいのか? でも、緊張していたのは私も同じなのだった。
 私が返事を思いつけないで、内心焦っているのに気付いているのかいないのか、彼は言葉を続ける。

「それにね。僕さ、嫉妬したんだよ。シリウスに、ものすごく。それで嫌な態度だったかも」
「し、嫉妬?」
「そう」 リーマスはこくんと頷く。
「せっかく誘ってくれたのにと思うと、自分が情けなくなってきて。こんな状態で楽しめるはずないと思ったから、一度ちゃんと話をしようと――」
「ちょっと待って!」

 いきなりの私の大声に、リーマスはびくっと身を引いた。

「……リーマスばっかり、嫉妬してるんじゃないの。私だって何度、あなたに近づく女の子の飲み物に下剤を入れたいと思ったことか、わからないわ」
「えっ」

 もちろん入れてないわよ、としかめっ面で断ってから、また続ける。

「それにね、ダンスだって、そりゃあ戸惑ったけれどドキドキしたし、とても楽しかったわ。お願いだから、そんなに悲観的にならないで」
「……

 呟いた彼の表情には、安堵と罪悪感が見て取れた。
 私は、大丈夫と安心させるつもりで、座っていたソファから立ち上がって彼の隣に行った。
 しかし、隣に座った、その瞬間。

 ――ゴロゴロ、グウグウ。

 雷ではない。盛大に鳴っていたのは、他ならぬ私のお腹だった。

「――、は、」

 少しの沈黙の後、我慢が出来ないというように、リーマスが笑いだした。彼にもこの音の原因はかなりあるというのに、無責任なものである。
 赤くなった顔を見られないように、私は慌ててそっぽを向いた。でも、表情は間違いなく緩んでいるはずだった。

 彼が今日初めて、心から笑ったような気がしたから。それが、とても嬉しかったから。

「それじゃあ」

 仕切りなおしだ、と笑いながら、彼は立ち上がって私の手を取った。私がまだ、目を白黒させているというのに。

「え? どこ行くの?」
「もちろん、大広間だよ」

 デザートを食べつくさなきゃ、――と。